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90年前、大阪は東京以上の過密都市だった—昭和10年 全国人口ランキング

京阪神圏、京都市、大阪市、神戸市周辺の地図

昭和10年(1935年)、日本に「市」はいくつあったか知っていますか?答えは127市です。現在の792市と比べると約6分の1にすぎません。人口・面積・人口密度のランキングを眺めると現代の地図とはまったく異なる日本の姿が見えてきます。


目次

昭和10年の日本に存在した127の市

昭和10年(1935年)市別人口ランキング
全127市・国勢調査
順位 道府県 人口(人) 面積(km²) 人口密度
(人/km²)
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「国勢調査 昭和10年国勢調査 市町村別人口 2 市別人口」

1935年(昭和10年)の国勢調査時点で日本に存在した市は127市でした。現在(2026年)の792市と比べると約6.2倍に増えた計算です。

現在では誰もが知る街も当時はまだ市になっていませんでした。愛知県豊田市の前身・挙母町は1951年に市制施行。さいたま市を構成した浦和市・大宮市・与野市のうち、大宮市と与野市は1940年代以降の市制です。現在の首都圏・京阪神圏・中京圏を支える都市の多くが1935年時点ではまだ「町」や「村」でした。

市が127から792に増えた背景には戦後の「昭和の大合併」と「平成の大合併」があります。昭和28年〜36年の昭和の大合併では全国の市町村数がほぼ3分の1に集約され多くの市が新たに誕生しました。平成11年〜18年の平成の大合併でも同様の再編が進みました。

一方で、1935年に存在していながら現在は地図から消えた市名もあります。後述する福岡県の5市や沖縄の首里市がその代表例です。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「国勢調査 昭和10年国勢調査 市町村別人口 2 市別人口」、総務省「市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴」


人口—東京市・大阪市の突出

1935年の人口ランキングで際立つのは1位東京市と2位大阪市の突出ぶりです。

東京市は5,875,667人。2位の大阪市は2,989,874人で、3位の名古屋市(1,082,816人)と4位の京都市(1,080,593人)はほぼ並んでいます。東京市と大阪市の2市だけで127市の総人口2,266万人の約39%を占めていました。

5位の神戸市(912,179人)以降は急速に人口が落ちていきます。ちょうど真ん中の64位は茨城県の水戸市で63,816人。上位と下位の差がいかに大きかったかがわかります。

なお、大阪市の人口は2020年国勢調査の2,752,412人を上回っています。1935年の大阪市が現在より人口が多かった理由は次の人口密度のセクションとあわせてご覧ください。


面積—1935年の市はコンパクトだった

面積で見ると127市の平均は40.1km²でした。現在の市は昭和の大合併・平成の大合併を経て市域が大幅に拡大していますが、1935年当時の市はおおむね中心市街地のみを抱えるコンパクトな規模でした。

面積1位は東京市の550.85km²。現在の東京23区(627.6km²)と比べてもそれほど変わらない規模です。2位は京都市の288.65km²で、3位は静岡市の147.76km²が続きます。

一方、最小は127位の首里市(沖縄県)で2.45km²。那覇市(5.11km²)と合わせても狭い地域に2つの市が並んでいたことがわかります。

面積が最大の東京市が人口も最大というのは直感通りですが人口密度では話が変わります。


人口密度—1位は東京市ではなく大阪市

人口密度のトップは大阪市で16,151人/km²です。東京市の10,667人/km²を大きく上回り全127市中1位でした。

大阪市は面積185.12km²に約299万人が暮らしていました。現在の大阪市は面積が約225km²に拡大しているにもかかわらず、人口は約275万人と1935年を下回っています。郊外への人口分散が進んだ結果です。

2位は福井市の15,456人/km²、3位は那覇市の12,761人/km²、4位は神戸市の11,119人/km²、5位は函館市の11,036人/km²と続きます。東京市は6位(10,667人/km²)です。福井市が2位に入るのは面積わずか4.87km²に75,273人が集中していたためです。

人口密度順のソートはテーブルのボタンから確認できます。


福岡県に10市—そして北九州市になった5市

道府県別の市数を見ると福岡県が10市で全国最多でした。2位の北海道(7市)を大きく引き離しています。

福岡県の10市は、福岡市・八幡市・門司市・小倉市・大牟田市・久留米市・若松市・戸畑市・直方市・飯塚市です。このうち八幡市(12位)・門司市(31位)・小倉市(32位)・若松市(53位)・戸畑市(58位)の5市は、1963年に対等合併して北九州市になりました。127市中5市が1つの政令指定都市に集約されたのは、全国でもこの地域だけです。

5市の1935年人口を合計すると581,757人。当時すでに政令市に迫る規模の人口が北九州地域に集積していたことがわかります。


道府県別の市の数—1市しかなかった道府県も

127市の道府県別分布を見ると偏りがはっきりしています。福岡県(10市)・北海道(7市)・愛知県と兵庫県(各5市)が上位に並ぶ一方、熊本県・鹿児島県・石川県・高知県・徳島県・山梨県・福井県・滋賀県・岩手県・茨城県・秋田県・奈良県・島根県は1市のみでした。

意外なのは東京府が2市(東京市・八王子市)しかなかったことです。現在の東京都には26市がありますが、1935年時点では東京市が府内の大部分を占め、八王子市が2つ目の市として存在していただけでした。大阪府も3市(大阪市・堺市・岸和田市)にとどまっています。

道府県別の詳細は下のテーブルでご確認ください。

昭和10年(1935年)道府県別市数
全47道府県
市数 道府県・市名
10 福岡県(福岡市・八幡市・門司市・小倉市・大牟田市・久留米市・若松市・戸畑市・直方市・飯塚市)
7 北海道(函館市・札幌市・小樽市・旭川市・室蘭市・釧路市・帯広市)
5 愛知県(名古屋市・豊橋市・岡崎市・一宮市・瀬戸市)
5 兵庫県(神戸市・姫路市・西宮市・尼崎市・明石市)
4 神奈川県(横浜市・横須賀市・川崎市・平塚市)
4 広島県(広島市・呉市・福山市・尾道市)
4 静岡県(静岡市・浜松市・清水市・沼津市)
4 新潟県(新潟市・長岡市・三條市・高田市)
4 山口県(下関市・宇部市・山口市・萩市)
4 愛媛県(松山市・今治市・宇和島市・八幡浜市)
4 山形県(山形市・米沢市・鶴岡市・酒田市)
4 埼玉県(川口市・浦和市・熊谷市・川越市)
4 三重県(津市・四日市市・松阪市・宇治山田市)
3 大阪府(大阪市・堺市・岸和田市)
3 和歌山県(和歌山市・新宮市・海南市)
3 岡山県(岡山市・津山市・倉敷市)
3 青森県(青森市・八戸市・弘前市)
3 群馬県(前橋市・桐生市・高崎市)
3 長野県(長野市・松本市・上田市)
3 宮崎県(宮崎市・延岡市・都城市)
3 大分県(別府市・大分市・中津市)
3 千葉県(千葉市・銚子市・市川市)
3 福島県(郡山市・福島市・若松市)
2 東京府(東京市・八王子市)
2 宮城県(仙台市・石巻市)
2 長崎県(長崎市・佐世保市)
2 岐阜県(岐阜市・大垣市)
2 栃木県(宇都宮市・足利市)
2 香川県(高松市・丸亀市)
2 富山県(富山市・高岡市)
2 沖縄県(那覇市・首里市)
2 佐賀県(佐賀市・唐津市)
2 鳥取県(鳥取市・米子市)
1 京都府(京都市)
1 熊本県(熊本市)
1 鹿児島県(鹿児島市)
1 石川県(金沢市)
1 高知県(高知市)
1 徳島県(徳島市)
1 山梨県(甲府市)
1 福井県(福井市)
1 滋賀県(大津市)
1 岩手県(盛岡市)
1 茨城県(水戸市)
1 秋田県(秋田市)
1 奈良県(奈良市)
1 島根県(松江市)
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「国勢調査 昭和10年国勢調査 市町村別人口 2 市別人口」

首里市という市があった

127市の中で最も人口が少なかったのは沖縄県の首里市で19,305人(127位)です。

那覇市(60位・65,208人)とは別の独立した市として1935年に存在しており、面積はわずか2.45km²でした。1954年(昭和29年)9月1日に那覇市と合併し「首里市」という名前は地図から消えました。

首里城や首里という地名は現在も広く知られていますが、かつてそこが独立した「市」だったことを知っている人は少ないかもしれません。

出典:那覇市公式ホームページ「那覇市のあゆみ」


まとめ

1935年の127市のランキングは、人口・面積・人口密度それぞれのボタンで並べ替えができます。現代の地図と見比べながら、90年間の変化を探してみてください。

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この記事を書いた人

日本の人口統計・地域データを独自にリサーチしています。国勢調査データをもとに、全国の市区町村の人口推移をわかりやすく伝えることを目指しています。

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